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AI コーチング体験の質は「何を聞かないか」で決まる部分が大きい。 ChatGPT や Claude は LoL 分析で非常に有能だが、いくつかの典型的なパターンで自信を持って間違える。 ここでは、筆者が 1 年間 AI コーチングを使い続けて気付いた 5 つの落とし穴と、プロンプト側でそれを回避する具体的な方法をまとめる。
現在主要な LLM の知識カットオフは 2024 年以降。 LoL は 2 週間ごとにパッチが入るため、現行メタ・最新ティアリスト・新チャンピオンのバランス変更について AI は古い情報で答える。 「今のパッチでこの ADC は強いですか」「最新のメタで主流の構成は」などの質問は信用してはいけない。
回避策:パッチ依存の質問は op.gg / u.gg / ProBuilds に任せ、AI には「この試合の中で何が起こったか」を聞く。 試合 JSON 内に閉じた質問なら、メタ知識の古さは問題にならない。
AI は学習データに大量のプロ試合解説・コーチング動画文字起こしが含まれているため、何も指定しないと「LCK/LCS のプロが目指す動き」を基準にする。 ゴールド帯で「敵ジャングルのスポーンタイマーから逆算して 6 分にカウンターガンクを準備」と言われても、実行不可能。
回避策:自分のランクとロールを明示する。
私はゴールド III のジャングル専。プロレベルの動きではなく、ゴールド帯で再現可能な改善案だけ提示してください。
AI は標準ビルド(u.gg/op.gg のメインルート)から外れたアイテムを見ると、ほぼ反射的に「このアイテムは不要だった」と言う傾向がある。 だが実際には、対面構成によって最適ビルドが変わるのが LoL の本質。 相手のチームが AP 多めなら魔法防御アイテムが先のほうが正しい、ということもある。
回避策:ビルド評価を頼むときは 敵チーム構成も伝え、その文脈での評価を要求。
標準ビルドではなく、敵チーム構成({敵 5 人のチャンピオン})に対する最適性の観点でビルドを評価してください。
KDA は最も目立つ数字なので、AI は無意識にここに重みを置きやすい。 特にデフォルト「コーチ」ペルソナでは、KDA が良ければ「集団戦の貢献も良かった」と推測しがち。
回避策:KDA を意図的に外させる。
KDA は無視して、ダメージシェア・ビジョンスコア・対面との CS 差・オブジェクト関与の 4 指標だけで集団戦・マクロ評価をしてください。
コーチペルソナは「励ます」方向に最適化されているため、本当に問題があるプレイでも「全体としては良かった」「次は上手くいきます」と緩めてしまうことがある。 自己肯定感のリセット用には便利だが、上達には逆効果。
回避策:辛口ペルソナを使うか、コーチペルソナに次の 1 行を足す。
励ましの言葉は不要です。具体的なミスと改善点だけを述べてください。私は感情ではなく事実を求めています。
AI はメジャーチャンピオン同士のマッチアップは詳しいが、マイナーチャンピオン(イラオイ vs ナフィリ など、メタから外れた組み合わせ)の細かい挙動は曖昧なことがある。 「序盤強い」「中盤勝つ」程度の粒度で答え、特定スキルの相互作用までは踏み込めない。
回避策:マッチアップ詳細は matchup.lol や Mobalytics などの専門ツールに任せ、AI には「この試合 JSON の中で起こったこと」だけ聞く。
AI コーチは強力だが、答えを盲信するべきではない。 「JSON 内の事実から導かれた結論」と「AI の事前知識からの推測」を区別すると、信頼度の高い情報だけを抽出できる。 疑わしい指摘は op.gg や Mobalytics で裏取りする。 このサイクルが回ると、AI は「あなたの専属コーチ」というより「即時応答する非常に有能なリサーチアシスタント」として機能する。